TMS治療とは
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation.;経頭蓋磁気刺激)とは「磁気によって大脳を刺激して、大脳の神経活動性を変化させる装置」です。
脳卒中後遺症に対してTMSを治療的に用いる場合、「まだまだ余力のある健常な脳組織の神経活動性を促進して
大脳のもつ神経症状を補う力を最大限に発揮させること」が目的です。
TMS治療のご案内
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation.;経頭蓋磁気刺激)とは「磁気によって大脳を刺激して、大脳の神経活動性を変化させる装置」です。
脳卒中後遺症に対してTMSを治療的に用いる場合、「まだまだ余力のある健常な脳組織の神経活動性を促進して
大脳のもつ神経症状を補う力を最大限に発揮させること」が目的です。
東京慈恵会医科大学附属病院では、2008年から世界に先駆けて、「TMSと集中的リハビリテーションの併用療法」を脳卒中後の上肢麻痺および失語症に対する新たな治療手段として導入していました。結果として、脳卒中後の上肢麻痺もしく失語症患者に対する効果は目を見張るものがあり、いまでは「脳卒中リハビリテーションの新時代を切り開く新たな治療手段」として、日本国内のみならず、海外でも注目されている治療法です。
(1)まず大脳にTMSをあてて脳の活動性を高め、リハビリテーションに対する反応性をよくします。
(2)次いで、脳の活動性をさらに高めるために集中的リハビリテーション(作業療法)を行います。
(3)そうすることで、脳のもつ代償能力が最大限に発揮され、上肢麻痺などの神経症状の改善がもたらされます。
①低頻度TMSを与える。
②健側大脳の活動が抑制される。
③機能代償部位にかかる半球間抑制が減少する。
④機能代償部位が抑制から解放され活性化される。
1.TMS治療を受けるためには、以下の適応基準をすべてを満たすことが最低条件です。
①麻痺側上肢の手指BRSが3~5である。
・少なくとも、手指の能動的屈曲が十分に可能である。
・ただし、手指の能動的伸展、分離運動が可能であるかは問わない。
②年齢が18~90歳である。
③発症から治療までの経過時間が3カ月以上である。
④脳卒中発作の既往が1度だけである(脳卒中病変は両側性ではない)。
⑤顕著な認知機能障害をみとめない。
⑥うつ病でない。
⑦少なくとも過去1年間において痙攣発作の既往がない。
⑧脳波検査において、てんかん波などの異常波の出現を認めない。
⑨頭蓋内金属の存在、心臓ペースメーカーの存在、妊娠中などがない。
⑩日常生活が自立していること。
⑪透析をしていないこと。
⑫全身状態が良好であること(発熱、栄養障害、重度心疾患、体力低下などがない)。
※上記の条件を満たし、適応と判断された場合でも、TMS治療を施行された患者様全員に症状の改善がみられるわけではありません。TMS治療を行なってもなんら症状の変化が見られない場合もあります。
※当院で行う治療は、上肢(手)の麻痺が対象です。
2.外来診察を受けて頂きます。
TMS治療を行なうか否かは、最終的に東京慈恵会医科大学付属病院リハビリテーション科の医師の診察によって決定されます。適応基準を満たしていても診察の結果、TMS治療が行なえない場合もあります。
◆外来診察日は毎月第3土曜日の9:00~12:00となっています。
◆他の医療機関をかかりつけ医(主治医)としている方は、診療情報提供書(紹介状)が必要です。
3.診察の結果、TMS治療の適応であると判定された際は、入院の予約を取らせていただきます。
当院では金曜日の午前に入院し、翌々週の金曜日の午前に退院となります。よって、計15日間の入院治療となります。
※日曜日はTMS治療・リハビリはお休みとなります。
◆個別リハビリは東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座関連施設である、総合東京病院で研修を修了した作業療法士が中心となり行ないます。
◆自主トレーニングは患者様の能力に合わせたプログラムを用意します。
◆現時点においてはTMS治療は各施設の倫理委員会が承認した臨床研究と位置づけられている為、TMS治療を受ける際は、入院時に医師の説明を受けた上で、研究参加の承諾が必要となります。
◆TMS治療の施行に際しての費用は発生しませんが、部屋代、食事代、入院基本料、リハビリ料などは費用として計算されます(保険診療で可能です)。
◆個室を利用される方は、別途個室料金が必要となります。